山本 周平 (やまもと しゅうへい)

Shuhei YAMAMOTO, Ph.D.

フィールド自然史博物館 (米国・シカゴ)

 

 

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ORCiD ID:  orcid.org/0000-0002-4162-8457

ResearcherID: U-8247-2018

Keywords: 甲虫・化石・琥珀・進化・形態・系統・多様性

 

主にハネカクシを中心としたハネカクシ上科甲虫について、分類学・古生物学・系統学的観点から研究を行っています。ハネカクシはその名の通り、多くの種は膜質状の後翅を器用に折り畳んで格納する昆虫として知られていますが、形態的に多様な種が膨大に含まれるため、未だに全容は明らかになっていません。実際、まだまだ多くの新種 (未記載種) が残っているグループです。これまで、私は種多様性や各種の分布パターンの解明、系統学的な観点から進化史の考察、化石による進化史や起源に関する考察を行ってきました。また、ハネカクシの後翅の折り畳み様式・過程の解明を行う共同研究にも携わりました。

 

なお、2017年に九州大学から博士号 (農学) を取得しました。現在は米国シカゴにあるフィールド自然史博物館で研究を行っています。世界最大のティラノサウルス標本「スー」がある博物館です。本博物館には世界最大級のハネカクシ上科のコレクションが収蔵されており、それらを用いて積極的な論文執筆に取り組んでいます。

研究内容


1. ハネカクシ科甲虫を用いた分類・系統学的研究

 

2. 昆虫化石を用いた陸域生物相の復元および形態進化と進化的起源の考察

 

3. 琥珀に埋包された昆虫化石を用いた生態や行動に関する考察

 

4. 昆虫形態から迫る生物模倣技術に関する研究

略歴


2019.07-2019.11

        フィールド自然史博物館 (米国シカゴ) 訪問研究員 

2017.07-2019.06

        フィールド自然史博物館 (米国シカゴ) 日本学術振興会海外特別研究員 

2017.04-2017.06 

九州大学総合研究博物館 協力研究員 

2014.04-2017.03

九州大学大学院 生物資源環境科学府 博士課程. 博士 (農学)

2014.04-2017.03

日本学術振興会特別研究員 DC1

2012.04-2014.03

九州大学大学院 生物資源環境科学府 修士課程 

2008.04-2012.03

九州大学 農学部 生物資源環境学科 

2005.04-2008.03

桐朋高等学校

1989.07

東京都出身

主要研究業績


Yamamoto, S. (2019) Fossil evidence of elytra reduction in ship-timber beetles. Scientific Reports, 9: 4938. (doi: 10.1038/s41598-019-41310-1).

 

本論文はオープンアクセスです。無料で本文の閲覧とPDFのダウンロード等ができます。

 

甲虫目ツツシンクイムシ科のコバネツツシンクイ亜科Atractocerinaeは短縮した前翅をもつ一群ですが、膜質状の後翅は折り畳まれずに大部分が露出するという甲虫の中では変わった特徴を有することで知られています。

 

そのような後翅を露出するタイプの甲虫は少数派ですが、甲虫目における前翅(鞘翅)の短小化の起源と進化史を議論するのに重要な分類群だと考えられます。

 

本研究ではミャンマー琥珀から1新属新種と現生属Raractocetusの2新種を記載し、中生代から本亜科の前翅の形態を初めて記載しました。興味深いことに本新属は現生のグループ同様に短縮した前翅を有していたものの、形状は顕著に細長い特異なものでした。このことから、白亜紀“中期”には多様な長さの前翅を有するコバネツツシンクイが共存していたことが示唆されました。

 

本研究では、新生代始新世のバルト琥珀からRaractocetusの1新種に加え、中新世ドミニカ琥珀の標本の記載も行い、このテーマについてさらなる議論を行っています。なお、ドミニカ琥珀の化石は現生属Atractocerus (狭義) に分類でき、現生種同様に極めて小さく変形した前翅を有していることを示しました。これらの化石はツツシンクイムシだけに留まらず、後翅を露出するタイプの甲虫全般に関する形態進化や進化史に関する議論を前進させることが期待されます。

 

 

Yamamoto, S., Takahashi, Y. (2019) First and oldest Leptochirini rove beetles illuminate diverse cephalic structures in the Cretaceous (Coleoptera: Staphylinidae: Osoriinae). Systematic Entomology, 44(3): 588–611. (doi: 10.1111/syen.12342).

 

ツツハネカクシ亜科は2千種以上を要する大きな甲虫の一群ですが、中生代からは白亜紀’中期’のミャンマー琥珀から1種が報告されているのみでした。今回、特徴的なオニツツハネカクシ族Leptochiriniを同琥珀から見出し、著者らの観察と系統解析の結果を踏まえて、新属新種ならびに現生属Priochirusの新種として命名記載しました。本族の頭部は顕著に変形するのが特徴で、その頭部形態の進化についても議論しました。現生タクサの生態から、これらの化石種はおそらく倒木の樹皮下で生息していたものと推測されます。

 

 

Yamamoto, S., Maruyama, M. (2018) Phylogeny of the rove beetle tribe Gymnusini sensu n. (Coleoptera: Staphylinidae: Aleocharinae): Implications for the early branching events of the subfamily. Systematic Entomology, 43(1): 183–199. (doi: 10.1111/syen.12267).

 

ヒゲブトハネカクシ亜科は1万6千種以上を擁する動物界最大の亜科として知られています。今回、亜科内で最も原始的と言われるトマムハネカクシ族Gymnusiniとヌレチハネカクシ族Deinopsiniの系統関係を論じました。両者は特徴的な形態から姉妹群関係にあるとされてきましたが、特にトマムハネカクシ族の単系統性は疑問視されてきました。本研究の結論として、両族を含んだ新しい概念のトマムハネカクシ族を提唱しました。

 

 

Saito, K., Nomura, S., Yamamoto, S., Niiyama, R., Okabe, Y. (2017) Investigation of hindwing folding in ladybird beetles by artificial elytron transplantation and microcomputed tomography. PNAS, 114(22): 5624–5628. (doi: 10.1073/pnas.1620612114). 

 

テントウムシが後翅を折り畳む過程を透明な人工鞘翅を移植した個体を用いて明らかにしました。一度の動作で縦方向と横方向に折り畳めることや、巻き尺などに使われるテープ・スプリング構造を見出すことができました。生物模倣技術として、傘や人工衛星のパネルなどへの工学的な応用が期待されます。論文はオープンアクセスですので動画を含めて無料で閲覧できます。プレスリリースhttp://www.pnas.org/content/114/22/5624.abstract

 

NHKを始めとして各新聞で報道されています!(読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞、産経新聞、東京新聞、河北新報、神戸新聞、中日新聞、沖縄タイムス、西日本新聞、中国新聞、茨城新聞、山形新聞、佐賀新聞、岩手日報、高知新聞、静岡新聞、共同通信; USA TODAY, New York Times)。

 

表紙にも採用されました。

X線CTで撮影したナナホシテントウの後翅です。

 

 

Yamamoto, S., Takahashi, Y., Parker, J. (2017) Evolutionary stasis in enigmatic jacobsoniid beetles. Gondwana Research, 45: 275–281. (doi: 10.1016/j.gr.2016.12.008).

 

中生代から初めてとなるヤコブソンムシの化石を報告しました。ヤコブソンムシは甲虫の仲間ですが、何の甲虫に近いのか専門家の間で意見が割れている謎多き昆虫です。共焦点レーザー顕微鏡という特殊な装置で詳しく調べてみたところ、化石は現生属に所属することが分かり、このグループの形態進化の遅さが示唆されました。また、本科とハネカクシ上科との関連性についても議論しました。

 

 

Yamamoto, S., Maruyama, M., Parker, J. (2016)  Evidence for Social Parasitism of Early Insect Societies by Cretaceous Rove Beetles. Nature Communications, 7: 13658 doi: 10.1038/ncomms13658

 

http://www.nature.com/articles/ncomms13658

 

論文はオープンアクセスです!

 

約1億年前の琥珀から好白蟻性と思われるヒゲブトハネカクシが見出され、最古の社会寄生の例として報告しました。この発見で初期の真社会性昆虫が社会寄生を受けており、また、彼らがコロニーを形成していたことが示唆されました。ヒゲブトハネカクシは他の分類群よりも真社会性昆虫により適応しやすかった可能性も提示できました。

 

 

Yamamoto, S., Maruyama, M. (2016) Revision of the subgenus Aleochara Gravenhorst of the parasitoid rove beetle genus Aleochara Gravenhorst of Japan (Coleoptera: Staphylinidae: Aleocharinae). Zootaxa, 4101(1): 1–68. (doi: 10.11646/zootaxa.4101.1.1).

 

自身初のモノグラフです。日本産ヒゲブトハネカクシ属AleocharaAleochara亜属)の分類学的再検討を行いました。日本産本亜属は全国的に普通に見られ、大型の種で構成されるにもかかわらず、同定の根拠が曖昧でした。ほぼ全ての都道府県の標本を用いた包括的な研究により、国内における分布傾向も明らかになりました。1新種を含む8種を記載し、4種をシノニムとして処理し、1新結合に加え、1種をシノニムから復活させました。

 

Yamamoto, S., Maruyama, M. (2016) Revision of the subgenus Tinotus Sharp, stat. n., of the parasitoid rove-beetle genus Aleochara Gravenhorst (Coleoptera, Staphylinidae, Aleocharinae) from Japan, Taiwan, and the Russian Far East. ZooKeys, 559: 81–106. 

 

本論文はオープンアクセスです。

http://zookeys.pensoft.net/articles.php?id=6755

 

ヒゲブトハネカクシ属Aleocharaの幼虫は双翅目(ハエ類)の囲蛹に捕食寄生することが知られており、欧州や北米では作物を加害するハエの生物的防除への応用を踏まえた研究が多数なされています。

 

本論文では、これまで独立属として扱われていたチビヒゲブトハネカクシ属Tinotusをヒゲブトハネカクシ属Aleocharaの1亜属に降格させました。また、日本、極東ロシア、台湾産Tinotusの分類学的再検討を行い、日本のみから知られていた1既知種に加え、1未記録種と1未記載種を見出し、全種を記載しました。日本からは3種全てが発見されました。

 

本論文でヒゲブトハネカクシ属の構成種は500種から540種に大きく増加しました。この処置に伴い、論文では多数の分類学的変更を行い、計28種の新結合に加え、14種については置換名を提唱しています。

 

 

Saito, K., Yamamoto, S., Maruyama, M., Okabe, Y. (2014) Asymmetric hindwing foldings in rove beetles. PNAS, 111(46): 16349–16352. (doi: 10.1073/pnas.1409468111).

 

NHK、読売新聞、日刊工業新聞、日経産業新聞、静岡新聞、財経新聞で取り上げられました!  

PNASの"Featured Video"にも選出されています。

 

ハネカクシの翅の折り畳み方の詳細を明らかにし、モデル化した論文です。プレスリリース 

Yamamoto, S., Maruyama, M. (2012) Revision of the seashore-dwelling subgenera Emplenota Casey and Triochara Bernhauer (Coleoptera: Staphylinidae: genus Aleochara) from Japan. Zootaxa, 3517: 1–52.  [Featured in “The Guardian”] PDF

 

英ガーディアン紙 (The Guardian) で紹介されました!

日本産海浜性ヒゲブトハネカクシ属2亜属の分類学的再検討を行った論文で、Emplenota亜属5種(3新種)、Triochara亜属3種の計8種をまとめています。本論文により、日本は世界で両亜属の種多様性が最も多様であることが判明しました。全国各地の標本から各種の分布傾向も明らかになりました。

学位論文


Systematic study of Staphylinoidea (Coleoptera: Staphyliniformia), with special reference to the tachyporine group subfamilies (Staphylinidae)

「ハネカクシ上科(甲虫目:ハネカクシ下目)のシリホソハネカクシ亜科群を主とした体系学」505 pp. 甲第八七九号. 2017年3月.

 

博士(農学)九州大学

賞罰


第35回井上研究奨励賞

平成27年度日本甲虫学会奨励賞

平成25年度 九州大学大学院 生物資源環境科学府賞

研究費・フェローシップ


日本学術振興会特別研究員研究奨励費 (DC1)

助成期間: 2014年4月~2017年3月

助成金額: 3,400千円

 

日本学術振興会海外特別研究員 

助成期間: 2017年7月~2019年6月 (予定)

 

査読経験誌


Acta Entomologica Musei Nationalis Pragae 

Acta Oecologica

Acta Zoologica Bulgarica

Alcheringa: An Australasian Journal of Palaeontology (*2)

Austral Entomology

Biological Journal of the Linnean Society

Cladistics

Coleopterists Bulletin (*2)

Comptes Rendus Palevol

Cretaceous Research (*11)

Entomological Science (*3)

Fossil Record

Fragmenta Faunistica

Insect Conservation and Diversity

Journal of Systematic Palaeontology

Medical Entomology and Zoology

Palaeoentomology (*4)

Papers in Palaeontology

Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences (*2)

Systematic Entomology

Zootaxa (*5)

趣味


1. 写真撮影(書籍に掲載されました!)

 

2. 街歩き(特に目的もなしに知らない道を歩くのが好きです)

 

3. 映画鑑賞(日本にいた頃は週1編のペースで鑑賞していました)

 

4. 博物館や類似施設巡り(博物館、美術館、水族館、動物園、植物園、昆虫館、その他資料館、図書館などは大小問わず好きです。ついでに展示の手法なども注意深く見ています。)

 

5. 庭園、邸宅、都市の大規模公園の散策(新宿御苑、六義園、井の頭公園、江戸東京たてもの園などは好みです。)

 

6. 山登り(低山が主ですが、国立公園、国定公園などを含めて散策好きです。最も縁があるのは高尾山です。)

  

その他


ハネカクシ談話会ニュース 編集担当

連絡先


フィールド自然史博物館 統合研究センター (昆虫部門)

Integrative Research Center,

Field Museum of Natural History,

1400 S Lake Shore Drive

Chicago, IL 60605, USA

 

E-mail 1: s.yamamoto.64@gmail.com

E-mail 2:  syamamoto@fieldmuseum.org